小樽を教育都市に
投稿日 : 2010年02月15日, カテゴリー : 塾長のBLOG
私は九州佐賀に18年間、浪人時代を東京で1年間、大学時代を札幌で6年間、結婚をしてから余市で2年間過ごし、その後小樽に移り住んで30数年になります。その間も、日本全国いろいろな所を回って、今はっきりと言えることは、小樽が最高だということです。風光明媚で四季折々の風情も豊かです。北海道を背負ってきた気持ちと文化もしっかり根付いており、情緒にあふれています。人情も豊かです。
しかし、残念なことに一つだけ欠けているものがあります。それは町全体に元気がないことです。その原因は少子高齢化が進み、若者が少なくなっていることや経済的に疲弊してきていることがあげられると思います。しかし、たとえどんなことがあろうとも私たちの大多数は小樽を逃げ出すことはできません。ここで子供を育て、ここで生きてゆくしかありません。だとしたら、これから先の小樽を真剣に考えましょう。
これまで小樽は観光都市として広く全国、そしてアジアでも知られた存在になっています。少なくなったとはいえ、700万人以上の人が毎年小樽を訪れています。ところが訪れる人が何を求めているのかを研究しないで観光地巡りと寿司という“モノ”にターゲットをあてて見事失敗しています。小樽観光は本州の観光地とは違い、“モノ”ではなく、“情緒”を主題にした売り方をしなければなりません。だから、四季折々の風情、いにしえの風景が醸し出すノスタルジー、疲れた心と身体を癒す温泉と旅館と食べ物を総合的に演出し、最低でも2泊、できればハワイなどのような長期滞在型の観光にもって行くべきでしょう。
もう一つの方向性は教育です。日本の伝統的なやり方は経済不況になると財政政策や金融政策を考えてきました。しかしうまくいかず、結果として800兆円以上の国の借金が残ってしまったのです。世界を見渡すと、経済対策に教育改革をあげる国が少なくありません。一見すると関係がないようにも見えますが、実はそうではありません。壮大な戦略があるのです。内需拡大と海外からの富の誘致です。海外企業の誘致には法人税の優遇を絡ませなければなりませんが、優秀な人材の供給がもっとも大切です。今や“知”が富を生む時代です。働く人たちの知的能力が高ければ、たとえ人件費が高くても企業は競って誘致します。アメリカのシリコンバレーなどがその例でしょう。また、インドの優秀な頭脳がアメリカに流れていたのが、最近ではインドの知的水準の上昇によって、地元で起業する人が増えています。それもその例でしょう。わが小樽も観光都市とともに教育都市を考えたらどうでしょう。今後の世界は世界共通語である“英語”と“IT”と“思考力”を要請しています。したがって、教育もそれに沿ったものに当然なります。ということは従来型の教育の否定になります。答えがない時代に、答えが一つあることを前提にその解き方を覚える教育が役に立ちますか。英語で会議をし、英語で交渉する時代に、薄っぺらな教科書をただ理解させるだけの英語教育が役に立ちますか。本気でこの点にメスを入れて立ち向かう勇気を持たなければ小樽はこのまま衰退し、20年後には8万人の衰退都市になります。小樽の政治家と小樽の財界の人たちの英知が問われています。