苦悩する現代の日本人(1)
投稿日 : 2010年12月27日, カテゴリー : 塾長のBLOG
日本経済はほぼ20年間低迷を続けています。特別なことが起こらない限り将来的にもそうは期待できないでしょう。ただそうは言っても、一人当たりの経済的豊かさは今でも世界の上位に位置しており、お金がないと言っても、それはぜいたくができないという意味であって、明日の食事に事欠くわけではありません。路上で餓死している人なんて、日本中どこにもいないのです。
問題はそこではなく、心の状態にあります。日本人の心の状態が危険域付近まで来ていると思います。
日本はアジア圏なのに、いち早く欧米化した国です。特に第二次世界大戦後の日本は経済面、教育面、生活面で、全面的にアメリカの様式を取り入れて今日に至っています。その結果、経済的には豊かになり、望むものは全てそろっており、お金さえ出せば何でも手にはいります。
しかしその反面、心が満たされることが少なくなってきたような気がします。自分の居場所がなくなり、たとえ家にいても落ち着かなくなってきています。いじめ、不登校、ニート、ホームレス、さまざまな精神疾患、etc。物質的に豊かになれば、心が満たされ、幸せになると信じて日本人は一生懸命働いてきたのに、今は屋根に登って、はしごを外された状態になっています。
なぜなのか?そして、どうすればいいのか?
最初の回答は、日本人の自我が肥大化したためと考えています。つまり、欧米の個人主義教育を取り入れて、盛んに「個」の確立を図った結果、今の日本人は少し、自意識過剰気味になっています。すべての感覚と考え方の基準が自分であり、自分を中心にして物事が成り立っています。欧米の場合はそれでもキリスト教が精神のバックボーンにあるので、自己中心主義が緩和されますが、日本では自己規制する倫理や宗教が存在しても弱すぎます。その結果、肥大した自己が様々なことを想い、要求するのに、現実はそれに応えることができない。一言でいえば、思い通りにならないということです。それが苦悩の真の原因です。その苦悩を取り去り緩和するために、現実の方をねじ曲げたり、否定したり(引きこもりなど)、代償行動をとったり(過食・拒食)して自分の自我を守ろうとします。自我防衛が機能している時はまだいいのですが、しなくなったときに精神疾患そして自殺にまで追い込まれることがあります。
どうすればいいのかについては、次回の巻頭言で!