感じる力
投稿日 : 2010年04月27日, カテゴリー : 塾長のBLOG
もうすぐ桜の花をはじめ、多種多様な花々が咲く素晴らしい季節が訪れます。北国の春は冬の厳しさを我慢したご褒美だと感じることがあります。それほど北海道の春は人を引き付け感動させるエネルギーを感じさせてくれます。私は九州佐賀県の出身です。九州の春も趣があっていいものですが、冬と春の落差があまりない分、感動という点では大きな違いがあります。たとえば、九州では冬にツバキの花が咲き、それから1月に梅の花が咲き、菜の花が咲き、3月下旬から桜の花が咲きます。ところが北海道では、5月に梅や桜やその他の花々が一気に咲き、まさしく百花繚乱となり、花の香が夕方から夜にかけてこれほど強く漂うのは北海道ならではです。
私がここで言いたいことは、今の日本人の感じる力のことです。北海道の春のように、自然の側から刺激を投げかけてくれる場合は我々の5感はまだ反応することができます(それでも昔の日本人が持っていた繊細で鋭い感覚は鈍っているかもしれませんが・・)。
問題はこちらの側から取りに行く、つまり主体的に感じようとする時の態度です。その場の空気が読めない人、結婚式のスピーチの最中に私語をする若者、授業参観の最中に私語をする保護者達・・・は感じる力が弱くなっているか、または感覚が正常に機能していません。いじめの問題の根底にも、相手の気持ちを感じ取る力の減衰があると思っています。
感じる力の低下が学力低下の原因になっていると言ったら、奇異に感じますか。学力低下の原因はゆとり教育のせいもありますが、それだけではなく感じる力の低下も原因になっていると思います。たとえば、数学の文章題が苦手な子、歴史の暗記が苦手な子、英語のセンスが身に付かない子のほとんどが、頭に入れる手順を間違えています。ある事柄を頭に入れる場合、対象になっている事柄をイメージし、それを味わい、吟味してから頭に入れると取り立てて暗記しなくても自然に頭に入ります。小説を読んだり、ラジオの朗読を聞いたりしたときに、あらすじや細かい描写を記憶できるのはイメージし、感じているからです。勉強も同じようにすればもっと簡単にできるようになります。それをしないで、いきなり覚えようとしますから、何度も繰り返し書いたり、言ったりしないと覚えないのです。
もちろん、感じる力は磨かないと鋭くなりません。だから、これから勉強するときは「感じて、頭に入れる」を標語にして、日々感じる力を磨いて行きましょう。